「旬の食材」3月
こんにちは、管理栄養士の仲渡です。
春の足音が聞こえてくる3月、芽吹きの食材も少しずつ旬を迎え始めます。
ワクワク感や希望に満ち溢れるシーズンの反面、気温のアップダウンや環境の変化から体のバランスを崩す方も多い時季。
今回はそんな3月におすすめしたい、体の調子を整える旬の食材をご紹介します。
余分なものを体の外へ!
~野菜&果物編~
<たけのこ> 旬/3~5月
栄養素・成分/カリウム、食物繊維
春野菜の代表格ともいえる、皮つきの生たけのこ。水煮と違ってアク抜きの手間がありますが、その香りや食感は格別です。じつは栄養価はほとんど期待できないのですが、カリウムが多いのでむくみ解消や高血圧予防の効果も。
また低カロリーで、食物繊維も含みます。食感がいいので食べ応えもあり、ダイエット中の方にもおすすめです。
アク抜きは、風味を残すためにもぜひ皮つきのままで。先端をななめに切り落とし、少し切り込みを入れるのがポイントです。米のとぎ汁に鷹の爪を入れて、水の状態から20~40分ほど火にかければOK。あとは水で洗って皮をむきます。
たけのこは鮮度がおちるのが速く時間が経つほどにえぐ味が強くなるので、掘りたてホヤホヤでない限りアク抜きはマスト。産地で採れたてをいただく場合には、薄切りで生食できることもあります。
ちなみにいろいろな品種があり、日本でよく食べられるのが「孟宗竹(もうそうちく)」。新鮮なものはさっとゆでて水でしめたら、「お刺身」としてわさび醤油などでいただきます。
余談ですが台湾でよく食べられる「緑竹(りょくちく)」も、生感覚のサラダが定番。こちらは甘めのマヨネーズがお馴染みのようです。

<ふきのとう> 旬/2~3月
栄養素・成分/ビタミンB群、ビタミンC、リン、カリウム、食物繊維
4月に向けて旬の山菜も増えてきます。“デトックス野菜”ともいえる「ふきのとう」は、この時季の体に必要な栄養素の宝庫。苦み成分のポリフェノール類や香り成分が胃腸や肝臓を元気にしてくれます。
カリウムや食物繊維が冬の間に溜まった余分なものを排出し、ビタミンB群は代謝効率をアップ。ビタミンCは体をサビさせない抗酸化作パワーをもっているので、まさに新しい体に生まれ変わるようなイメージですね。
ただしポリフェノールが多い分、とりすぎると刺激になってしまうので食べ過ぎにはご注意ください。
<うど> 旬/3~5月
栄養素・成分/カリウム、食物繊維、ジテルペンアルデヒド
うどには栽培と天然がありますが、お店に並ぶものはほぼ栽培もの。栽培のなかでも春と冬に収穫期があり、春に収穫する「春うど」が旬。5~6月になると天然ものも出てきますので、見かけたらぜひゲットしてみてくださいね。
ちなみに全体がほぼ真っ白なものは「軟白(なんぱく)うど」と呼ばれ、日陰で育てた栽培もの。やわらかく食べやすいです。
ビタミンやミネラルは微量ですが、カリウムが多いので利尿作用や食物繊維による整腸作用を期待できます。
独特の香りには「ジテルペンアルデヒド」という成分などが含まれ、血行をよくして疲労回復に効果があるといわれています。
うどもたけのこと同様に、アクがあります。油いためやきんぴらにする場合には、切った後に水にさらしておくだけでOKです。生のままで酢味噌和えやサラダにする場合には、水に酢を少量加えて浸けておくだけなので簡単ですね!
<新たまねぎ> 旬/11~3月
栄養素・成分/アリシン、ビタミン類、食物繊維
通常は収穫後に乾燥させて、貯蔵したものが出回っている玉ねぎ。春に先取りする「新たまねぎ」は、乾燥させずにそのまま出荷しています。
たまねぎ特有の辛味成分は「アリシン」。 “血液サラサラ効果”とよくいわれるように血栓予防のほか、代謝もアップしてくれます。新たまねぎはあまり辛味を感じないのですが、同じ成分がちゃんと含まれているのでご安心を。
加熱や水にさらすと減ってしまうので、ぜひ生のままさっと水にくぐらせてサラダやお肉や魚と一緒にカルパッチョがおすすめです。ちなみに加熱してとろりと甘くなった玉ねぎは、なんと砂糖の50倍もの甘味があるといわれます。
<ニラ> 旬/3~5月
栄養素・成分/カロテン、ビタミンE、カルシウム、アリシン、食物繊維
独特の香りの主成分は、たまねぎにも含まれる「アリシン」。消化吸収を助ける働きで、胃腸を元気にしてくれます。ただし殺菌作用もあるので生食や食べ過ぎは禁物。
強火でさっと炒めるなど、短時間で加熱するのがおすすめです。免疫機能にも関わるカロテンと抗酸化作用のあるビタミンEのコンビが、活性酸素などから体を守り調子を整えてくれます。
<いちご> 旬/3~6月
栄養素・成分/ビタミンC、食物繊維
年中出回っているイメージですが、実際の旬は春から初夏にかけて。果物のなかでもビタミンCが特に多く、体内でコラーゲンを作って保つ働きがあるので肌荒れにも効果的。食物繊維やカリウムも多く含むので、不要なものを排出してくれます。
余談ですが、「いちごの実」と聞くとどの部分が思い浮かぶでしょうか?
正解は種のような粒々で、その中に小さな種が入っています。いつも食べている赤い部分は「茎」に分類され、実のように見えるので「偽果(ぎか)」とも呼ばれます。ちょっと意識してみるとおもしろいですね!
初春のおめでたい気分を味わう
~魚介類編~
<真鯛(桜だい)> 旬/3~5月頃
栄養素・成分/DHA、EPA
旬といっても、真鯛もほぼ一年中見かけるお魚ですね。それもそのはず、市場に出ている8割前後は養殖。希少な天然ものですが、産卵期を控えた3~5月頃に水揚げ量が増えるので今が狙い目です。この時季は体の色がほんのり桜色になるので、別名「桜鯛」とも呼ばれます。
代表的な栄養素は、青魚に多い多価不飽和脂肪酸の DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)。免疫機能や脳神経機能を調整する働きがあるほか、血栓予防の効果も。この時季は花粉症などアレルギー症状が出やすい方には、特におすすめですよ。栄養成分を効率よくとるには、できるだけお刺身などの生食でどうぞ。
ちなみに天然ものの特長は、脂が控えめでさっぱりとした味わいと引き締まった身の弾力。
ただ、天然ものでも産卵前の1~2月の方がしっかり脂がのっているので、冬の方がおいしい!といわれることもあります。