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喫茶店入門
名古屋のモーニング人気店「リヨン」

「朝じゃなくても大丈夫」
リヨンの一日中モーニング

喫茶店文化の根付く名古屋で、欠かせないのがモーニング。ドリンクを頼むと、無料でゆで卵やトーストなどの朝食がついてくる、このお得なサービスは名古屋のいたるところで見られます。

今回訪れたのは、名古屋で有名なモーニングのお店「リヨン」。こちらは一日中モーニングサービスという、もはや“モーニング”の概念を全く無視したサービスで名古屋の激戦区の中でもひときわ異彩を放っています。

名古屋駅のさくら通り口を出て、徒歩5分ほど。モード学園の近代的なビル(スパイラルタワーズ)の向かいにあります。大通りに掲げられた昭和を感じさせる看板にレトロなたたずまい。昭和を感じさせる看板と外観週末の開店前には行列ができることもあるそうですが、日曜日の12時頃だったので、比較的店内は空いていました。

ボックス席には若い男性グループ、二人組の若い女性、カウンターには常連風の年配男性、週刊誌片手の中年女性など、年齢層は幅広く、自由な雰囲気です。
店員は意外にもかわいい今風の若い女性(数名)。
店内様子

種類が豊富なモーニングサービス

飲み物を注文するとサービスでついてくるモーニングのセットは全部で6種類。

定番の小倉あんのプレスサンドを筆頭に甘いものとしょっぱいものからお好みで選べます。

モーニングの定番と言えば、シンプルなトーストに茹で卵ですが、リヨンでは中に具材が入った「プレスサンド」が選べるのでなんだか得した気分です。
メニュー

未知なのに懐かしい味

私が注文したのは、アイスコーヒー(税込410円)とフルーツプレスサンド。

定番の小倉あんも食べてみたかったですが、未知の味、フルーツプレスサンドに引き寄せられました。
モーニングセットフルーツサンド断面アイスコーヒーは飲みやすく、苦さ控えめ、サッパリとした味わいです。

フルーツプレスサンドは中にイチゴジャムと缶詰のパインが入っていました。
温められた熱々のパインは甘味が増し、耳がカリカリでさっくりとしたパンに良くあいます。

初めて食べましたが、子供の頃を思い出す、なんだか懐かしい味わいです。
「これもおまけだよっ」という感じで柿ピーがついてくるのも和みます。

幅広いメニューが魅力

もっとボリュームが欲しい時にはモーニングセットも選べます。

トーストにたっぷりとあんこが乗った小倉トースト2切れにサラダとコーヒーがついた、小倉トーストセット(税込780円)はロケで芸能人が食べたこともある人気の一品。

お昼時にはビーフカレー(税込700円)やオムライス(税込780円)などの定番メニューから、名古屋名物のみそかつ定食(税込850円)など様々なメニューが楽しめます。

お子様など苦いコーヒーが飲めないという人にも朗報。
果汁100%※のトロピカルなジュース(キウイ、マンゴー、パイナップル、アサイーの4種類 各500円)があり、こちらもモーニングセットにできます。※アサイーのみ果汁95%

早く起きなくても、楽しめるモーニング。私のように朝が苦手な方にもやさしいお店です。

オーナーの川合さんに話を聞く

ちょうど、タイミング良く、一息ついていらした、オーナーの川合さんにお話しを伺いました。25歳の時から49年間も喫茶店をやっている川合さん。

現在は息子さんに任せているそうですが、リヨン名古屋店、モカ瑞穂店、リヨンⅡ内田橋店の三店舗を経営されています。モカ瑞穂店が最初の店舗で、その後、名古屋駅近くでリヨンを始めたそうですが、はじめて2~3年はここまで流行っていなかったそうです。

一日中モーニングが徐々に話題を呼び、雑誌等でとり上げられるようになっていき、2005年の愛知万博を契機に人気が出たそうです。

小倉ブームの立役者

モーニングで人気のメニューは「小倉プレス」と「野菜プレス」。

瑞穂店の時は500円で単品として売っていたサンドメニューを名古屋店では内容を変更し、モーニングサービスとして実施するようになりました。
モーニング開始時からメニューはほとんど変わっておらず、チョコクリームプレスがポテトサラダプレスに変更となったのみ。
いつも、変わらぬおいしさを提供しています。

特に年代を問わず、人気なのが「小倉プレス」。名古屋の名物としてポピュラーな小倉トーストですが、実は再ブームの火付け役はここリヨンだと川合さんは言います。

「小倉トースト自体はかなり昔からある。自分が高校生の頃からあったけど、30年くらい前には廃れていた。小倉プレスも当初からメニューに加えてはいたが、売れると思っていなかった。」

小倉トーストはかつて名古屋にあった喫茶店「満つ葉」が発祥とされています。もともと和菓子屋だった「満つ葉」はもち米の不足により、饅頭が作れず、あんこだけが余って困っていたそう。

そこで、喫茶店に鞍替えをし、余っていたあんこをぜんざいとして提供しました。客の学生たちがぜんざいにパンを浸しているのをヒントに店主のキミさんが考案したのが「小倉トースト」。
大正10年、今から90年以上も昔のことになります。

当時はハイカラだった小倉トーストも月日とともに輝きを失いつつありました。リヨンの一日中モーニングサービスが話題になり、小倉プレスの人気とともに周囲で小倉トーストを始める店舗も増えてきたそうです。

あんこへのこだわり

つぶあん
イメージ

リヨンの小倉プレスは何と言ってもあんこにこだわっています。納得のいく味を追い求め、これまでにあんこを5回も変えています。一時は手作りを試みたこともあったそうです。

川合さんいわく、手作りしたあんこはやはり他と比べ物にならないくらいおいしいとのこと。しかしながら、人気の小倉プレスを支えるには大量のあんこを手づくりしなければなりません。

「煮て作ると2時間30分かかってもタッパー2個分にしかならない。煮ている間は鍋の前から離れられないし、煮た後も粗熱を冷ますのに時間がかかってしまう。そんなに手間をかけても午前中にはなくなってしまう。」

結局、おいしさ、手間、コストを考え、最後にたどり着いたのが、今の“ナニワ”のあんこ。愛知県みよし市に居を構えるナニワのあんこは実は全国で使われています。

硬さも甘さも小倉プレスに最適なこのあんこは川合さんのお気に入り。ナニワの味が変わらない限り、あんこを変えるつもりはないそうです。

変わらぬサービスで愛されるお店に

最近は名古屋でもさまざまなモーニングを行う店が群雄割拠しています。

そんな荒波を生き抜いてきた川合さんはいいます。
「街の外れで家賃を安くしても、過剰にサービスをしていれば、結局は、やっていけなくなる。おにぎりとか茶碗蒸しとか凝ったメニューのところは大体なくなっている。サービスの為に、朝早く起きて、一人で仕込みをして、そんなに大変な思いをしても、儲けは出ないから、やっていけなくなる。茶碗蒸しだと器も必要だし、おにぎりも握る手間がかかって、お客様がたくさん入った時に対応できないでしょ。」

「できもしないサービスをやるより、同じサービスをいつでも、提供できることが大切。」

川合さんの言葉が胸に突き刺さります。
いつでも、お客様に喜んでもらえるサービスを変わらず提供すること。

その温かな思いがリヨンの一日中モーニングには込められているのです。

リヨン
052-551-3865
愛知県名古屋市中村区名駅南1-24-21 三井ビル別館B1

定休日:無休
営業時間:8:00~18:00
※予約はできません。
※価格、メニューは取材当時のもので変更となる可能性があります。

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米びつに唐辛子しか入っていない。
そんな毎日を改善したいような、したくないような女
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