会いに行きたくなる
地獄の軍団
“怖いもの”って引力があります。日本人が妖怪を好きなのは、怖いもの見たさの好奇心がくすぐられるのと、ある種の親しみやすさが感じられるからかもしれません。
実は私も怖いものが好きなので、全国のお寺巡りをする時に度々心奪われるものがあります。それが「閻魔(えんま)」様です。
福岡・博多の寺町にある、「海元寺」の閻魔様も大好き!度々訪れては、じっくりお顔を眺めています。なぜかすごく心が落ち着くんですよね~。

心ある存在は
コワモテでも愛される
「ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれる」と子どもの頃から聞かされていましたが、実際は、閻魔様はそんな野蛮なことはしないんじゃないかしら??
と、私は勝手に思っています。
というのも、閻魔様は亡くなった人の生前の行いを見極め、地獄へ落とすかどうかを決める裁判官のような役割を担っているから。閻魔様のいる場所は裁判所で、まだまだ地獄ではないということですよね。
それに、閻魔様は地蔵菩薩の化身であり、本来は人々を極楽に導きたいと願う慈悲深い方だといわれています。
人々は、閻魔様の厳しさの中に深い優しさを感じ取っているからこそ、信仰が続いているのかもしれませんね。

閻魔様を喰ってしまう!?
奪衣ババアの存在感
よくよく見ると、閻魔堂には「こんにゃく」が沢山お供えしてあります。このこんにゃくは、三途の川で死者の衣を奪い取る「奪衣ババア」にお供えするものなのだそうです。

元々こんにゃくは、腹の中の砂を取る働きがあるといわれていますが、ついでに病(特に下の病)も取ってほしいという願いを込めてお供えされているのだとか。私が参拝した時にお参りに来られた方は、「気になっていた皮膚の不調が治まったから、お礼参りに来たんです」と言われていました。
閻魔様に負けない形相の奪衣ババア、なにげにご利益がすごかったです!

紹介したスポット
■海元寺
福岡県福岡市博多区中呉服町10-5
http://kaigenji.com/
博多の老舗店で
八女茶の魅力に出会う
海元寺から歩いてすぐ。丁寧に水打ちされたエントランスがいかにも“和”な雰囲気を醸し出しているお店があります。
こちらは「光安青霞園(みつやすせいかえん)茶舗」さん。1716年の江戸時代から300余年続くお茶屋さんです。

全国的にも有名な八女茶を取り扱うこのお店では、「もっとお茶の奥深さを知ってもらいたい」という店主の想いから、喫茶スペースが併設されているんです。やっぱりお寺に参拝した後は、チェーン店の珈琲じゃなく、日本のお茶をいただきたいよね!ということで席に座りました。
さりげない“うんちく”が
ティータイムの価値を高める
私がオーダーしたのは、夏季限定の「ロック茶」。ファンキーなお茶ということではなく、岩(ロック)のような氷に熱い煎茶を注いでいただくものです。
「こちらは二煎目、三煎目くらいまで楽しめます。味が変わってくるのも面白いですよ」と、お店の方。お茶のことについてさりげなく教えてくださるのが嬉しいですね。

以前伺った時には「玉露」をいただいたのですが、まるで“お出汁”のように濃厚な旨みがありました。質の高いお茶を、正しい作法でいただくと、お茶本来の魅力に出会えるんですね。
お茶を使って作られた菓子は2種類選べます。個人的にはほろ苦いお茶のチョコレートがイチオシです!

紹介したスポット
■光安青霞園(みつやすせいかえん)茶舗
福岡県福岡市博多区中呉服町8-1
http://www.mitea.jp/