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未来を救う昆虫食のススメ3

昆虫食の定義をおさらい。
赤ちゃんから大人まで……?

昆虫食のコラムも今回で3回目となりました。ここで改めて昆虫食の基本をおさらいしましょう。昆虫は偏在性と餌料変換率が高く、新たな動物性タンパク源として注目される食材。その対象とされているのは、昆虫の成虫、サナギ、幼虫、そして卵も含みます。

タイではカイモッデーンというアリの卵がメジャーで、広く親しまれています。カイモッデーンを直訳すると「赤アリの卵」ということになりますが、正式にはツムギアリの卵です。

このアリはタイの田舎に行くとよく見かける一般的なアリなのですが、噛まれると悲鳴を上げるほど痛い。いつか、噛まれた時の恨みを込めて食べてやりたいと思っているのですが、なかなかチャンスに恵まれず、実は私はまだ食べた事がありません。ですので、以下は知人のタイ人に聞いた話です。カイモッデーンカイモッデーンのお味ですが、アリには「蟻酸」があるので卵も同様に酸っぱいそうです。
食感は卵ならではのプチプチ感があり、スープやサラダ、卵焼きの具などに使います。タイではカイモッデーンの缶詰も売られているそうです。あぁ、食べてみたい……。

真心込めた強敵現る。
生命のパワーを蓄えた昆虫食。

私が度々訪れるタイのイサーン地方(東北部)はタイの一次産業の中心地。広大な土地には水田やサトウキビ畑が広がり、世界的にも有名なタイシルクの原料となる、絹糸の生産も行われています。

車道を歩いて放牧地へと移動する牛
車道を歩いて放牧地へと移動する牛。イサーンではよく見られる光景です。

蚕は成長すると糸を吐き繭を作り、その中でサナギになります。この繭を茹でて絹糸を紡ぐのですが、気になりますよね……。糸を紡がれた後の丸裸のサナギちゃん。

そう、彼らはそれを食します。

日本でも養蚕を営む地域では佃煮にする文化があるそうですが、大半は家畜の飼料や釣りの餌に使われているそうです。
蚕調理工程を見ていないので予測ですが、レモングラスやミカンの葉などと共にゆでただけみたいです。

食べてみると……これが……正直……美味しくない。味はほぼ感じないのですが、鼻に抜ける、薬と柑橘を混ぜたような独特な匂いが強すぎるのです。飼育籠の中で桑の葉だけ食べて生きてきたのですから、桑の葉の香りなのだろうと思いますが、今のところ匂いの理由は不明。

食感はまさに、大人と子供の間。イモムシでもなく、蛾でもなく。ぐにゅっとしてみたりパリっとしてみたりする、その両方の食感が、これまたなんとも微妙。

おばさん「ちょびが来るって聞いたから、サナギをとっておいたの。皆があなたを歓迎しているのよ」と、おばさんは言いました。

サナギは幼虫から成虫になるために、パワーをたっぷりと蓄えた状態なので栄養価が高く、しかも限られた瞬間でしか味わえないので、彼らにとって、これは最高のおもてなし料理のようです。キラキラした彼女の笑顔を見ては、食べない選択肢など私にはなく、奥歯で必死にサナギを咀嚼したのでした。

今回このコラムを書くために色々と調べてみた結果、ひとつ解った事があります。それは、昆虫食に前向きな人でも、大半がこのサナギでつまずくという事。それぐらい、難敵なのですサナギ。もしかしたら、揚げてあったらイケるかもしれないと思ったのですが、このお宅では二年連続で茹でサナギが出てきたので私も諦めました。でも、日本の佃煮だったら克服できるんじゃないかな……と、新たな探究心が芽生えております。あぁ、奥深き昆虫食の世界。

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