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東京のワイナリーに行こう
BookRoad~葡蔵人~

散策の合間に行ける、
東京のワイナリー

東京のワイナリーは4軒あるということを前回お伝えしましたが、そのうち3軒が、いわゆる「下町」と呼ばれるエリアに集中しています。清澄白河や深川など、散策の途中に立ち寄りやすい場所というのが特長だといえます。

中でも東京で一番新しくできた、BookRoad~葡蔵人~というワイナリーがあるのは、下町でも繁華街の、御徒町の街中。ランドマークでもある多慶屋のあるあたりから歩いて数分のところです。

地図を頼りに賑やかな昭和通りを歩いていると「本当にこの先にワイナリーがあるのか?」と思ってしまうのですが、昭和通りから1本路地を入ると、そこは静かな住宅街。なにかお店のようなものはあるけれど、扉の前の小さな看板に気づかないと、工場にしてはお洒落だな、という感覚で通り過ぎてしまいそうな、路地裏の小さなワイナリーです。

BookRoad~葡蔵人~
まるでお洒落な飲食店のような看板。ぱっと見てワイナリーとは気づかないかも。
BookRoad~葡蔵人~入口
入口には空き瓶と、手書きの小さな看板。

清澄白河のフジマル醸造所と同じようにビルの中。1階と2階が作業スペースや事務所、3階にテイスティングルーム。ワインの販売と試飲は3階で行っています。

今回は、昨年できたばかりのこのワイナリーで、醸造を担当する須合美智子さんにお話を伺いました。

醸造家の須合美智子さん
醸造家の須合美智子さん。
山梨のワイナリーでワイン造りを学び、昨年ワイナリーの設立に伴い、
飲食業から醸造家に転身。BookRoad~葡蔵人~のワイン造りを取り仕切る。

飲食店を手がけるワイナリーの
11種の個性豊かなワイン

「元々は、飲食店を経営している会社なんです。焼鳥店と貝料理の店を。お店は2軒ともこの近くにあります。そこで、できたてを提供しようと。この場所を選んだのはたまたまなんですけれどね。

現在は全部で11種類、年に1万本のワインを造っています。大きなタンクが1,000リットルなんですけれど、それに1t分のぶどうを搾って果汁を入れます。それが1回のロットですね。ぶどうは山梨や長野、茨城県のつくば市の、契約農家さんから分けていただいています。品種は、甲州、マスカット・ベーリーA、デラウェアなど全部で8種類です。1階で仕込んで、2階にポンプで上げて瓶詰めをしています。」

1階にある醸造スペース。清潔な室内に整然とタンクやプレス機、コンテナなどが並ぶ。

「ご覧の通りの小さなスペースで、11種類も造っているので、仕込みの時期は大変です。どのタンクになにを入れるか考えたり、物をどこに置くかも含めて、やっぱりパズルのようになりますよね。日々試行錯誤しながらワインを造っています。」

都市型ならではの
メリットとデメリット

「そうですね、街中にあることで大変なことがあるとしたら、ゴミの問題でしょうか。例えば山梨とかだと、ぶどうのカスなどは畑にまいて肥料にしたりしますが、そういう事ができないので、普通の生ゴミと同じように廃棄物として捨てるんです。それはちょっと地方と違いますよね。お金を払って捨てますから、その辺りはちょっと大変。あとは仕込み中の音かな。機械の音が結構大きいので、夜遅くなると気になるかなあと思っていますが、それくらいかもしれないですね。」

小さなろ過器
2階。タンク以外に、小さなろ過器や手詰めの瓶詰め機と打栓機が並ぶ。
すべてが手作りだと感じさせるコンパクトな設備。

「契約農家さんからのぶどうがワイナリーに入ってくるときも、ワイナリーに面した道が、結構交通量が多くてトラックを止めたままにすると邪魔になってしまうので、昭和通りにトラックを止めて、そこからぶどうの入ったコンテナを台車に乗せてワイナリーまで運んでいるんです。ちょっと大変ですけれど、ご近所の迷惑にならないように心がけています。

あとは、産地で近くに仲間がいないことで大変なこともありますね。去年は富士の夢のろ過にちょっと手こずったりして、山梨でワイン造りを教えてくださった方に連絡をとったりしながら仕込みをしました。近くに仲間がいれば、連携が取りやすかったりもするんですが、そういうときはちょっと大変かもしれないですね。でも、そうしたことを加味しても、近所の方が気軽に訪ねてきてくださったり、ショッピングの合間に足を運んでくださる方もいて、そちらのメリットのほうがずっと大きいように思っています。」
醸造家の須合美智子さん

人の口に入るものだから、丁寧に

「ワインを造る上で心がけていることは、やっぱり、丁寧にきちんと造ること。なんといっても人の口に入るものなので、害にならないようにすることが大事だなと思っています。ワイナリーごとに、ワイン造りに関しては、いろいろ考え方があると思うんですけれど、例えば自分が家族や友達に料理をつくる時に、お皿を洗うのと同じように、醸造設備をきれいにしたり。普通に家庭でごはんを作る時にするのと同じように、ワインを造るときも清潔に、丁寧に、と思っています。

ワインを買いに来てくれる方は、近所の方も、遠くの方もいらっしゃいますが、マイバッグを持って購入しに来てくれるひとを見ると、嬉しいのですがなんだかさびしいような、不思議な気持ちになります。ああ、自分の造ったワインが旅立っていくんだなって。私にとって、ワインは子どもだったり、分身のような存在だったりするのかもしれません。」

ワインボトル
ワイングラスの上にさまざまな食物や、シチュエーションが描かれた印象的な、
可愛らしいデザインのエチケット。

食べることがあって初めて、
ワインが生きる

「ワインのエチケットは、スタッフと話し合いながら決めています。できたワインはみんなで試飲しながら、実際いろいろなものを食べて合うね、とか、話をしながら決めていって。食べることあってのワインですから。エチケットも、そんなことをイメージしながら、手に取りやすいようにデザインしてもらいました。この料理に合わせるならこのワイン、と。

でも、ブラッシュタイプ(黒ぶどうを白ワインと同じ製法で造ったワイン)のロゼだけは、ショートケーキ、って個人的に決めていました。いちごのショートケーキを食べたくなるようないい香りが醸造中からしていたので。飲んだ方にもそんなふうに感じて飲んでくれたらすごくうれしいです。フレッシュなうちに飲みきってもらいたいなあと思います。」

テイスティングルーム
白で統一された清潔感のあるテイスティングルーム。
ワインを購入すると貸し切りにすることができる(利用の7日前に要予約)。

飲食店が母体だからこそできること

醸造スペースの上、3階にあるお洒落なテイスティングルームは、BookRoad~葡蔵人~のワインを購入したひとに限り、1日1組で貸し切ることが可能です。ワインとのペアリングを楽しめる料理のコースを楽しめます。ワイン会はもちろん、家族や仲間とのパーティーに使うにも会話が弾みそうなちょうど良い広さなのが魅力的です。

ワイナリーの情報は主にインスタグラムで発信。アカウントの写真をたどると、ワイナリーが出来上がるまでのワクワクするような状況や、ワインができるまでの作業風景、どこでポップアップストアをしているか、といった情報も手に入れることができます。BookRoad~葡蔵人~の今と、今のワインを楽しみに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

Book Road~葡蔵人~

  • 住所:〒110-0016 東京都台東区台東3-40-2
  • Tel:03-5846-8660
  • 営業時間:12:00~20:00
  • 定休日:日曜日 ※ワイナリー見学の際は要事前連絡
  • アクセス:JR山手線 御徒町駅 徒歩5分

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ウェブサイト:http://bookroad.tokyo/
オンラインショップ:https://bookroad.thebase.in/
インスタグラム:https://www.instagram.com/bookroad.winery/

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