個性豊かな4つの
都市型ワイナリーを巡る
ワイナリーと言うと、山梨や長野など、地方を思い浮かべる方が多いと思います。実際、日本国内のワイナリーのほとんどがそうした地域にあるのですが、実は東京にも4軒のワイナリーがあったりします。
東京のいったいどこに? ぶどう畑は? と真っ先にそこに考えが行くと思うのですが、そこは発達した物流でカバー。さまざまな産地のぶどうがワイナリーに運ばれ、ワインを醸造しています。
このように、自社で畑を持たず、購入したぶどうでワインを造るワイナリーのことを、本場フランスでは「ネゴシアン」と呼び、東京にあるワイナリーのほとんどが、この「ネゴシアン」と言われるスタイルでワイン造りをしています。
そんな難しいことはさておき、いわゆる「ネゴシアン」としてワインを醸造する、都内の都市型ワイナリーの先駆けと言えるのが、清澄白河にあるフジマル醸造所です。
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フジマル醸造所を運営する会社は、ワインショップやレストランを経営する企業。最初に大阪・島之内にワイナリーを設立、次いで東京にも2軒目のワイナリーを構えました。

場所は清澄白河の住宅街。今やランドマーク的存在でもあるブルーボトルコーヒーから歩いて3分ほどの場所にあります。住宅街の路地を入った、マンションが立ち並ぶ中に現れるシンプルで目立たない看板。ここがワイナリーと、わからない人は気づかないかもしれません。

地図を見ながら看板を探して歩き、看板から目を下ろすと、ワイナリーの入口が。手描きの看板には2階にあるレストランの案内や、ワインを1階のワイナリーで購入できることが記してあります。
今回はフジマル醸造所のマネージャーを務める室谷統さんと、醸造家の木水晶子さんにインタビュー。都市型ワイナリーの今についてお話をおうかがいました。

ワイナリーの立地と、
都市型ならではのメリット
室谷(以下 室)「ワイナリーを始めるにあたって、東京の中でも清澄白河を選んだ理由の大きな部分として、情報発信力という点があげられると思います。清澄庭園を擁する落ち着いた住宅街でありながら、町工場やクラフト系のショップが多く、手作りのお店も多い地域です。観光客も多く、レストランの利用やワインの購入に、遠方から来た方が立ち寄ってくれることが多いです。
都市型のワイナリーの魅力のひとつといえるのが、造りたてのフレッシュなワインを飲めることと、安く提供できることが上げられると思います。レストランでは生樽のワインを提供しているのですが、できたてのフレッシュ感を味わえるのはもちろん、生樽の場合は瓶が必要ないので、その分安く提供できるというメリットもあるんです。」
