「土用の丑の日はうなぎを食べる」は
江戸時代に考案された販売戦略だった!?
土用の丑の日といえば、うなぎ。まごうことなきこの慣習は、一説によれば、夏に売れにくいうなぎを売るため「土用の丑の日には“う”のつくものを食べて精をつける」という風習を利用した、江戸時代の発明家・平賀源内が仕掛けた販促プロモーションだったと言われています。
そもそも、なぜうなぎは夏に売れなかったのか。実は天然うなぎの旬は10~12月にかけた初冬。夏に比べて冬のうなぎのほうがおいしく栄養価も高いのです。つまり「夏バテ防止食材としてのうなぎ」には特に根拠がない!?
実力不足が否めないまま(?)夏のスタミナの地位に鎮座し続けるうなぎに「待った!」をかける食材が現れました。
それが「宗田節(そうだぶし)」です。

その違いはどこにある?
ん? 宗田節ってカツオ節とか“節”の仲間のこと? 出汁を取るアレだよね?
そうです、出汁を取るアレです。一般には馴染みのうすい宗田節をメイン・メニューにかかげ、高知県土佐清水市の「アンテナショップ居酒屋・土佐清水ワールド」が「夏はうなぎより宗田節だ!」とのたまって、東京・上野に関東初の店舗をオープンしました。
さっそくお店に潜入し、宗田節とはなにかを探りました。
日本の出汁文化をリードしながらも
知る人ぞ知る存在だった宗田節
宗田節は、カツオの仲間であるメジカ(ソウダガツオ)で作るカツオ節の一種のこと。カツオより血合いの部分が多いので味が濃く、風味豊か。そばやうどんのつゆ、日本料理などに活用され、プロの料理人たちから愛されてきました。
宗田節のメッカ・土佐清水市は、江戸時代からカツオ節産業をリードする存在でした。当時、土佐清水で作られる宗田節は「土佐清水節(とさしみずぶし)」といわれ、1822年の「諸国鰹節番付表」(江戸時代の人はなんでも番付にするんだな・・・)では大関(最上位)を獲得。最上級の献上品として珍重されてきました。
宗田節は日本の出汁文化を牽引してきたトップランナーだったのです。

しかも! 宗田節はたんぱく質が牛肉の3倍、疲労回復をサポートするといわれるタウリンはなぎの40倍(カツオ節の3倍)も含まれています。ほかにもビタミンB1・B2、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどの栄養素があります。
宗田節で取った出汁は食品添加物も合成着色料も入っていない、まさに天然のエナジードリンク! うなぎに勝るとも劣らない滋養強壮食材というわけです。
東京から一番遠いまち
水も空気も透き通る土佐清水が誇る料理
空港もない、高速道路も鉄道も通っていない土佐清水市は、交通の利便性において東京から一番遠いまち、なのだとか。
四国最南端に位置し、黒潮が日本本土で最初に接岸するこの地は、それゆえ豊かな自然に恵まれ、海では年間を通じて多種多様な魚が獲れます。漁獲量日本一を誇るソウダガツオは、伝統の引き縄漁で一尾一尾ていねいに吊り上げるため魚の鮮度が保たれます。そのソウダガツオで作られた宗田節は市を支える基幹産業。伝統の製法と新しい技術で、新商品の開発も進んでいます。
それでは、四国の小さなまちから発信される古くて新しいおいしさ、料理にコクと力強さを与える宗田節がとことん楽しめる「土佐清水ワールド」のメニューを一部、ご紹介します。




ほかにも高知県名物「かつおの藁(わら)焼き」や「まんぼうのてんぷら」など、この店ならではのちょっと珍しいメニューがお待ちかね。
食欲が落ちやすい夏でも、宗田節メニューならさっぱりおいしくいただけそう!
今年の夏は土用の丑の日が二回あるんです。8月の土用は、宗田節で決まり!!
「土佐清水ワールド」東京上野店
営業時間:(月~金)11:30~14:30、17:00~24:00
(土日祝)11:30~24:00 / 年中無休
東京都台東区上野7-2-4「FUNDES(ファンデス)上野」2階
http://r.gnavi.co.jp/9a2m2suc0000/